名誉会長挨拶

(国立)筑波技術短期大学名誉教授     西條一止

この度、日本未病研究学会の役員の皆様に本学会の名誉会長にご推薦いただいた西條一止です。専門領域は鍼灸の研究、教育、臨床です。
1938年(昭和13年)生まれの71歳です。
65歳で(国立)筑波技術短期大学を退職した時は、仕事の第一線を引き、仕事は程よい程度に若い人達の邪魔をしないようにと考えていました。しかし、退職してみると日本社会は、悠々自適などという状況ではなく、健康であれば働き、税金を納めなさいということを実感しました。また一方で、50代になってできるようになったこと、60代になって話せるようになったことがあります。70代になり50代には発想できなかったことにも思い至るようになりました。「今を生きる意識」が健全でさえあれば定年などとは関わりなく、社会でさらに貢献できることを感じました。特に中国の古代医術であり、我が国に伝えられて1,500年程も経過する鍼灸と取り組み、毎年新たな発見をし、新たな構築をしている気持ちです。これを一歩でも探り、記録を残したいという気持ちが強くあります。山にたとえれば一歩登るごとに視界が変わってくるような感じです。
長年の鍼灸の研究で、「鍼治療は、地球上に存在している人間が環境(時間、空間)との関わりの中で起きている身体の不調(歪み)を、環境との関わり方を調整することである」ことに気付きました。自然の仕組みとの関わり方をちょっと変えて調整する、自然の存在そのものが主体なのです。鍼はその中における一つの道具です。そこで私は、私が主張している鍼治療を「自然鍼灸学」と命名しています。
病気というわけではないけれども身体が示す不調の徴を私は「未病の徴」と捉えています。心と身体と環境との関わりを眠り方、休息の取り方など、何かを一つでも変化させると状況が変わります。
未病研究は、「地球上で良く生きること」の研究と捉えられます。多くの人達の知恵が求められ、役立てることが期待されます。あらゆる人達が関わりが持て、関わりを持たなければならない研究領域です。健康寿命を延ばすところに大きな貢献が期待できます。
①正確な観察、②観察した現象を解釈する構想、③構想の確かめ(実験)、④現象の解明という科学的手法さえ踏まえれば、研究は多くの人達に可能であり、成果を生むことができると考えます。
大地に立ち、自然とともにあり、多くの人達とともに歩む学会でありたいと考えます。学会活動の実践の輪を拡げることで社会に貢献できると想います。
よろしくお付き合いをお願いいたします。

西條一止 プロフィール
学歴:
昭和40年3月 東京教育大学教育学部理療科教員養成施設 卒業
職歴:
昭和46年4月 東京教育大学教育学部理療科教員養成施設 助手
昭和51年4月 筑波大学 講師
昭和54年2月 筑波大学 助教授
昭和54年4月~62年9月 理療科教員養成施設施設長
昭和61年8月 筑波大学 教授
昭和62年10月 筑波技術短期大学 教授
平成11年4月 筑波技術短期大学 学長
平成15年4月 同大学名誉教授
平成18年12月 日本伝統医療科学大学院大学 学長(平成20年6月退職)
平成24年7月1日 日本未病研究学会会長退任、名誉会長就任
現職 平成21年4月 学校法人平成医療学園 学校役員
宝塚医療大学(仮称)創設準備室 教授
学位:
昭和52年 医学博士(東京大学)
専攻分野:
鍼灸の科学化、自律神経機能からの鍼灸の科学化
著書:
臨床鍼灸学を拓く・臨床鍼灸治療学 医歯薬出版。
研究論文多数(臨床鍼灸治療学の巻末に主なものを記載)
学会活動:
全日本鍼灸学会 顧問
日本温泉気候物理医学会 評議員 監事
日本自律神経学会 会員
日本東洋医学会 会員
日本医療福祉学会 理事
出身:
新潟県上越市清里区馬屋
信条:
大地に立ち自然とともにある。

現在、茨城県つくば市に在住

[西條一止の自然鍼灸塾]
http://nishijokazushi.com/